第9回優秀賞 準優秀賞 入選(春〜秋) 入選(秋〜冬) 総 評   


第8回四季の那須フォトコンテスト入賞作品発表

第9回四季の那須フォトコンテストに県内外から、たくさんのご応募ありがとうございました。 応募点数483点、応募者数167名の中から入賞された作品をここに発表いたします。

主 催 : 四季の那須フォトコンテスト実行委員会(那須町商工会・(社)那須観光協会) 
後 援 : 那須町・那須町文化協会・那須フィルムコミッション・NHK宇都宮放送局
(株)とちぎテレビ・(株)エフエム栃木・(株)下野新聞社
協 賛 : 那須レジャー施設協会・サッポロビール(株)那須工場・(株)黒羽ニコン
富士フイルム(株)・(株)フジカラープロフォトセンター





※写真をクリックすると大きい画像が御覧いただけます(別窓が開きます)。





浦安の舞

 両親の別荘訪問中、近くの那須温泉神社で例大祭があると聞いて出かけました。厳粛な雰囲気の中披露された坐女の舞は身震いするほど神々しいもので、舞の美しさと少女の真摯な眼差しを写し撮ることに無我夢中でした。(内山)


 数100枚の応募作品を見てゆく過程で、最も私の心を惹いた作品が「浦安の舞」を撮影した本作品でした。逆光気味のライティングに浮かび上がる巫女の表情がいかにも清々しく、その場の神聖な空気感が映像から香り立ってきます。舞を舞っているのですから、ひとときとして同じ姿形を止めてはいないはずなのに無心に舞う巫女の表情の最も美しい状態になった瞬間を見極め、シャッターを切っています。その結果を導いたのは作者の感性の鋭さです。それと作者の被写体に対する強い思い入れによるのでしょう。映像を想像する気持ちがあって生まれた傑作です。その場の空気感を体と心で感じ取った作者の感性が、見事に映像に反映された作品です。
(選評:石橋睦美)

「浦安の舞」 
内山 慶一郎(千葉県千葉市)
撮影場所:那須温泉神社湯くみ祭





氷雪造形  深い雪を踏みしめ辿り着いた茶臼岳山頂は快晴、昨夜の風雪が山頂の岩に面白い模様をデザインしてくれていました。ジョーズが大きな口を開け牙を剥き出しにしている様に見える巨岩を画面いっぱいにとらえ、遠方には山頂の祠を配しました。(荒崎)

 那須山系茶臼岳の山頂付近に生じた厳寒の風景を自然体で撮影した作品です。稜線の巨岩に付着したエビノシッポが構図の軸を成し、遠くにピークを配しています。作者がイメージした厳冬期の山岳景観は、厳しさを写しとることだったのではないでしょうか。山岳写真の分野ではスケール感を描写する映像と、季節の風物をモチーフにする映像とがあります。この作品は後者にあたり、風雪に晒された自然の様をまざまざと捉えています。強風と吹雪が去った日の、のどかな冬の表情が映像に凝縮されています。(選評:石橋睦美)

「氷雪造形」」
荒崎節夫(那須塩原市)
撮影場所:茶臼岳




 薄暗いうちに彼岸花群生地の蓑沢に到着して明るくなるのを待ちました。期待していた朝焼けはなく白っぽい空だったので空は写さないようにして、朝露が落ちる前にローアングルで撮影しました。(芳賀)

私の最も好きな作品です。曼珠沙華咲く野原を流れる小川を題材にして、山村風景の静かな佇まいを見事に表現しています。その大きな要素のひとつは、小雨か夜露かは分かりませんが、草の葉も花もしっとりと濡れ、小川のせせらぎが時の経過を物語っている。その先にほんの少しだけ見える黄金色の田と木立に覆い隠されようとする家が写し込まれ、季節感を表現する構図が完成されています。派手さはないが、しみじみとした山里の初秋の空気感が漂い出て来るようです。
(選評:石橋睦美)
里山の朝
「里山の朝」
芳賀定教(大田原市)
撮影場所:蓑沢




晩秋  以前来たときは、田んぼ一面に杭掛けされた稲束が、人間が隊列を作っているように見え壮観でした。この日は、稲束を脱穀し、その稲束の後始末をしている最中でした。メラメラ燃え立ちのぼる青白い煙の幻想的な光景に感動を覚え、又、農婦の今年一年も無事終わるという安堵感と、物寂しさが感じられました。(林)

 稲藁を焼く晩秋の風景を撮らえた映像からは、焦げた匂いと冷たい空気が感じ取れます。この頃ではこのような田園風景に出会う機会が少なくなってしまいました。どこか懐かしさを覚える風景です。この作品の素晴らしさは、郷愁を誘う風景をさりげなく写しとっていることです。さらに派手な色彩を排除して、モノトーンに近い渋い色彩で画面全体を彩色しています。この効果が、秋が終わりに近付いた空気感を演出しています。ただ沈み込んだ色彩が画面を彩っているせいで、輪郭をやや分かりづらくしているのですが、かえってそれが作品の価値を高めているとも言えるのです。(選評:石橋睦美)
「晩秋」
林 佐智子(那須塩原市)
撮影場所:大同




 千体地蔵という名のとおり、たくさんのお地蔵様が斜面いっぱいに拝んでいる様子は、格好の被写体。雪が赤い帽子にうっすらと積もると、「暑い日も、寒い日も、ずっと祈っている」姿に夢中になった。(大澤)

 那須温泉の殺生石にある千体地蔵がモチーフの作品です。私もここを訪れてすぐに視線がいった被写体ですから、誰もが興味を抱くのは間違いありません。応募作品も数点ありました。なかで私の目を止めたのが、この作品です。群立するように置かれた地蔵菩薩の石像がわずかに新雪を纏い、冬の訪れを待つかのように祈りを捧げています。このような情景を目にすると、昨年東北を中心に北海道から関東一円、さらには遠く紀伊半島にまで及ぶ津波で被害を被った人々への鎮魂を捧げる姿のようにも見えてきます。現実を現実として受け止めなければならない、2011年の現実を映しているともとれる作品です。
(選評:石橋睦美)
時を越えて祈る
「時を越えて祈る」
大澤陽子(東京都世田谷区)
撮影場所:殺生石千体地蔵



春の雪  桜のつぼみが膨らむ3月上旬、朝からチラ・チラと雪が降り始めました。そこで私は速くカメラを持って岩観音に向かった。現場についた時、雪の降りが少し強くなった様です、私は種々にイメージしストロボ使用で撮影し雪の降っている様に表現できたと思います。(遠藤)

 岩観音をモチーフにする作品は多くありました。それだけに競争率が激しくなります。おそらく過去のフォトコンテストでも多々受賞している被写体だと思います。確かに私もここを訪れて、那須町を象徴する風景のひとつだと感じました。多分、過去にこの作品を凌ぐ映像があったかもしれません。しかし、この作品からは雪振る日の冷たい空気感が伝わって来るのです。それはちょっと現実的ではない色調によるのかもしれません。本来ならば私の評価から外れてもよいプリント色調なのですが、この作品を評価したのは構図の素晴らしさによって生じたムードある映像です。
(選評:石橋睦美)
「春の雪」
遠藤十一(福島県白河市)
撮影場所:岩観音


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